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紅 kure-nai 学園の罠 前編1
1 :(*´Д`)<ハァハァ・・・・・・ :2009/10/11(日)
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 とある公立小学校の職員会議、その場は荒れていた。
 会議に出席している殆どの人間が、多かれ少なかれ渋い顔をしている。彼らを苦渋に満ちた顔にさせている理由は、その手元にあった。
 転入届・九鳳院紫。
 


 無機質な文字で書かれている用紙の下には、九鳳院紫というたった一人の少女を転入させるために必要な要求がずらりと並んでいる。
 本来なら転入生一人、事務的な処理をするだけで事足りる。しかし、九鳳院という名にはそれを許さないだけの重みがあった。
 九鳳院家。日本屈指の財閥。高名な政治家でさえ無条件で頭を下げるような、圧倒的な経済力を持つ一族だ。
 いくら県内でも高水準の学力であり、同時に高いセキュリティ・レベルだと言っても九鳳院に名を連ねる者が通う場所ではない。校長が何かの間違いかと問い合わせをしたが、返答は合っているの一言のみ。
 そして急遽職員会議が開かれ、現在に至る。7歳の少女をどのクラスに配属するかで、担任同士の押し付け合いに発展していた。しかし、それを責める事は誰にもできないだろう。
 なにしろ九鳳院の息女に下手な真似をすれば、比喩でなく首が飛ぶ。それができる一族なのだ、九鳳院という名家は。平凡な家庭の生徒ばかりがくる学校の教師に九鳳院の重みを受け持てと言うのは酷だろう。
 だからと言って、転入拒否というのも有り得ない。九鳳院の要求を跳ね除けるなど考えるだけで恐ろしい事だし、なにより殆ど無理やり寄付金を受け取らされているのだ。それも、校舎がまるまる一つ建つだけの。
 不幸中の幸いは、九鳳院紫が通う限りは校舎の外で密かに護衛が目を見張らせている事だろう。これで、少なくとも外部からの危険はない。だが、内側には何の手も入れてこないのだ。
 いっそ徹底的にてこ入れをしてくれれば気が楽だったのに。誰もがそう思わずにはいられなかった。
「いえ、私のクラスはですね……」
「そんな事を言ったら、私も……」
 先ほどから似たような押し問答の繰り返しだ。下手に押し付けてしまえば、最悪教師は逃げるだろう。誰も命を危機にさらしたくない。だからこそ、校長の権限で無理やり押し付ける事もできなかった。
 醜い言い争いを尻目に見ながら、一人の男がため息をついて手を上げた。
「私が担当しよう」
 かすれたような声に、誰もが言葉を止めて注目する。
 決して小さくない喧騒を止めたのは、白い髪をした初老の男だった。外見は六十路を越えているようにも見えるが、実際は四十路を少し過ぎた程度。白髪と矮躯が、実年齢より年老いて見せていた。
「本当かね、菅原先生」
「はい」
 少なからず驚愕を含んだ校長の言葉に、菅原は短く答えた。
「せっかく皆と学ぶ機会ができたというのに、肝心の私たちが腫れ物に触るような態度では可愛そうでしょう」
「しかしだね、菅原君。相手はあの九鳳院なのだよ」
「では、私の教育に対する内容を黙認してください。そして、いざとなったら私を切り捨てればいい」
 確かに、それならばもしもの時に菅原一人に罪をかぶせる事ができる。少なくとも、言い訳にはなるだろう。何もしないよりはマシという程度のものではあるが。
 校長は菅原を見る。菅原と言う教師は、良くも悪くも公平な人間だった。たとえ九鳳院と言えども特別扱いはせず、他の生徒と平等に扱うだろう。それは、九鳳院にどう写るだろうか。
 その点だけを覗けば、菅原は適任だった。教育者として優秀であり、責任感もある。少々熱意がありすぎるきらいはあるが、それが問題になった事はない。
 おそらく他の教師よりも遥かに上手くやるだろう。なにより、自分から全てのリスクを背負ってくれそうな人物は他にいない。
「わかった。それでは、菅原先生の1年3組にお願いします」
 他の教師があからさまにほっとするのを、菅原は忌々しげな目で見る。
 その日の職員会議が終わると、菅原は必要な書類の処理を終わらせてすぐに帰路に就いた。あの場には一秒たりともいたくなかったのだ。
 菅原は教育に人生を捧げてきた男だ。二度結婚をしたが、いずれも死別と離婚。それらから逃げるように、教育に熱を入れていった。その菅原にとって教育とは絶対的なものであり、他の教師は侮蔑する対象でしかない。
 生徒を蔑ろにし保身にばかり走る同僚を心底罵りながら、九鳳院紫の教育方法を考える。色々な教育設計を吟味していると、道の中心に男が立っているのに気がついた。
「こんばんは」
 男が挨拶をしてくる。しかし、菅原は挨拶を返す事ができなかった。
 灰色に近いスーツに、くたびれた白髪。少し皺の目立つ顔には微笑が張り付いている。手には黒いかばんを持っている。

 人通りがなくなるほどの夜中であるにもかかわらず、男は菅原を待ち構えていたかのようにそこにいる。いや、事実そうだったのだろう。
 なにせ、その男は菅原と全く同じ姿形をしていたのだから。
「そして、さようなら」
 男の無手だった右手が微かに揺らめく。菅原にはその右手にどういう意味があったのか分からなかったし、目の前の男が何かもわからなかった。
 そして、菅原の生涯は幕を閉じた。

「それでは、処理をお願いします。ルーシーさん」
「ええ、わかりました」
 菅原に瓜二つの男が言うと、ルーシーと呼ばれた女と男二人が物陰から現れる。男二人は、さっきまで菅原だった男をビニールに詰めると、すぐに去っていった。
「これであなたが菅原ですね。しかし、もっとスマートにできなかったんですか?」
 ルーシーは道路を見ながら、菅原に言う。
 ナイフを投げて額を一撃、瞬殺といっていい技だった。しかし、死体が勢いよく硬い地面に倒れこんだ為に血痕や毛髪が辺りに飛び散っていた。今は男二人がその痕跡を消すのに苦心している。
 ルーシーの苦言に、菅原は肩をすくめるしかなかった。
「無茶を言わないでくださいよ。私、戦闘はてんでダメなんですから。むしろこんな事までやらせたルーシーさんに問題がありますよ」
「そうですね、その点は謝罪します。それでは、本職の方をよろしくお願いいたしますね」
「正直言うと、こういう危険な仕事はやめて欲しいんですが……」
 九鳳院一族の通う学園に潜入、この時点でたとえ標的が九鳳院でなかったとしても楽に死ねない結末が待っている。リスクが恐ろしく大きい、この頭の悪い真似をしなければならない理由が菅原にあった。
 菅原は悪宇商会という会社に登録している。実態は菅原も知らない。表沙汰にできない仕事ばかりを扱う派遣会社とだけ理解していた。
 このルーシーと言う女は、登録社員を管理する人間だ。名前から経歴から全てが嘘だろうが、菅原にとってはどうでもいい。自分も似たようなものなのだから。
「すみません。けど、擬態と調教を同時に扱えるのは貴方くらいしかいないんですよ。その代わり報酬は弾んでいるじゃないですか」
「そうなんですけどね」
 実際、悪宇商会からの払いは毎回天文学的な数字だ。もしかしたら依頼料を超えているかもしれないと言うほどに。どんな依頼でも受けると謳っている以上、信頼を維持するためには金銭を惜しまなかった。
 行われている行為は、確かに下種以外の何者でもないだろう。しかし、登録社員の側からしてみれば、実力があれば重宝される悪宇商会は優良企業だ。
「それでも、悪宇商会も随分と無茶な依頼を引き受けたものですね。まさか九鳳院のお姫様をターゲットにだなんて」
「貴方がいなければ受けていなかった依頼ですけどね」
 今回菅原に回ってきた仕事は、九鳳院紫を可能な限り辱め貶めよというものだった。恐らく九鳳院家の人間ならば誰でも良かったのだろうが、最もセキュリティ・レベルの低い紫が選ばれたのだろう。
 セキュリティ・レベルが低いと言っても、それはあくまで九鳳院家での話。その最低レベルの相手でさえ、普通ならば手が出せない相手だ。
 そこで、完全に他人になりきることができる菅原に出番が回ってきた。もしこれを成功させれば、悪宇商会は九鳳院すら出し抜く事ができる企業であると評判を得る事ができる。
 しかし、危険も大きい。菅原は擬態能力こそ高いものの、戦闘能力は一般人に毛が生えた程度だ。少しでも怪しまれれば、捕らわれてゲームオーバーだ。
 また、拉致しても調教が完了する前に見つかるだろう。つまり学校の中で調教を終えなければいけない。恐ろしく難易度が高かった。
「人材……は邪魔になるだけでしょうから用意しませんけど、必要な道具等は全てこちらでそろえます。経費にも制限はありません。必ず成功させてください」
「分かってます。それでは、私はこれで失礼しますよ。こんな所見られでもしたら厄介ですから」
「私も戻ります。別口の仕事もありますからね。それではご武運を」
 菅原はひらひらと手を振って、菅原だった人間が持っていたかばんを回収して闇に消えた。それに続くように、ルーシーも暗がりに溶ける。
 路地は、殺人事件などなかったかのように静かだった。

 /開幕の日/


 菅原が本物と入れ替わって数日経っていた。標的である九鳳院紫も無事に転入し、クラスになじみ始めている。
 未だに紫には手を出せていなかった。単純に長時間二人きりになる口実がないのだ。学力に差がでもあれば、少ない時間でも少しずつ調教できるのだが、残念ながら頭脳は優秀だった。
 紫の調教は急いでいるわけではない。誰もそんなにすぐ成果が上がるとは思っていないだろう。チャンスはこれから作っていけばいい。
 それよりも問題だったのは、紫の意外な才能だ。九鳳院という特殊な環境の為だろうか、洞察力が桁違いだった。初日に挨拶をした時には、思わず動揺を表に出しそうになったほどだ。
「先生は本当に菅原という名前か?」
 初めての挨拶を交わした時、紫は菅原にこう言いながら首を捻ったのだ。
 菅原の擬態と言う技術は、変装とは次元が違う。人格も容姿も癖も、鏡写しのように複写するものだ。断じて真似ているだけではない。それを、この九鳳院紫という少女は断片的ながらも見抜いたのだ。
 今まで菅原の擬態を見抜いたものはいない。例えそれが親兄弟に成りすまそうとも。それを何百と繰り返してきたのに、初見の、それも始めてあった人間の嘘を見抜いた。
 菅原は必死の思いで、紫の能力を解析した。言葉から、少なくとも菅原に対して分かるのはイエスかノーという簡単な答えのみ。核心には至ってない様子だが、それでも嘘をついていいわけではない。
 つまり、紫が近くにいる時は嘘があってはいけない。全て正直に答えつつ、自分に都合がいいように隠し誘導しなければいけなかった。これは、酷く精神を磨耗させる作業だった。
 そうして心身共に疲弊させながら日々を過ごしていると、機会は意外に早くやってきた。九鳳院紫が、性教育のビデオを見たいと言ってきたのだ。転入してくる直前に見せたため、見逃したからだろう。
 すぐに放課後に視聴覚室の予約を取り付ける。何を考えて二時間分もの性教育ビデオを作成したのか不明だが、今は都合がいい。
 菅原はルーシーに連絡を取り、偽造のビデオを取り寄せる。と言っても、内容が大きく変わるわけではない。少しばかり過激にして、あとはサブリミナル効果で欲情を促すという程度のものだ。
 本当はこれだけでは不満だったが、ルーシーが言うにはこれで十分との事だ。曰く、九鳳院の女は例外なく淫乱である。
 長い年月何代、何十代にも渡り男に都合がいいように体を調整されていくうちに、肉体そのものが変わっていった。それこそ医学的、生物学的に全身性感帯と言えるほど感じやすく、ホルモンの分泌量も異常であると。
 その全てを鵜呑みにするわけにはいかないが、他者より感じやすいのは本当なのだろう。駄目ならば次の手を考えればいいだけだ。
 準備は既に万全である。

 九鳳院紫は授業が終わると、急いで視聴覚室に向かった。今日はそこで、担任の菅原に性教育のビデオを見せてもらう予定だったからだ。
 クラスメイトがビデオの話題で持ちきりな中、見た事のない紫は話題に乗れないでいた。自分が無知なのは認めるが、だからこそ学ばなければいけない。無知なままで終わらせるつもりはない。
 本当は真九郎に教えてもらう予定だったが、せっかく先生が手配してくれたのだし、少しくらいフライングしても罰はあるまい。
「先生、来たぞ!」
「おや、早かったね。そんなに楽しみだったかい?」
「うむ!」
 と、紫は元気よく返事をした。担任の菅原は、いつものように優しげな微笑をしている。
 始めてあった時の菅原は、紫にとってとても不思議な人だった。なんと言うか、嘘をついているようなついていないような、そんな不思議な感覚。明確にどちらかと言うわけではなく、酷く曖昧だったのだ。
 それも、普通に学校生活を過ごしていくうちに気にならなくなる。菅原は誠実で丁寧な、有体に言えば善人であったためにいつの間にか不思議な感覚を覚えた事すら紫は忘れていた。
 なにせ、今日も紫の為だけにこの視聴覚室を貸しきってくれたのだ。これが九鳳院家だから特別扱いをしていたのであれば紫も拒否していたが、この先生はどの生徒にでも平等に接する。だから、紫も遠慮なく頼れた。
 この優しい先生が、紫は好きだった。もちろん一番好きなのは真九郎だが、それとはまた別で遠慮なく頼れる大人として。
「ああ、扉はしっかり閉めてね。放課後とは言え、大きな音を外に漏らすのはよくない」
「わかった」
 完全な防音使用になっている視聴覚室の扉はとても重い。ドアノブも紫では両手で絞めなければならないほど硬く、体重をかけてやっとの思いで閉めることができた。最後に鍵を閉めれば、音が外に漏れる事はない。
「そろそろ映すからね。好きな場所に座るといい」

「よく見える場所がいい!」
 そう言って、紫は最前列に席を取った。紫が座るのと同時に室内が暗くなり、大きなスクリーンに映像が映し出される。
 画質はお世辞にもいいものとは言えず、音楽もチープだったが、それでも紫には楽しみだった。紫は九鳳院にいる頃、何もかもが与えられるだけだったために、自分から知るというのが楽しくて仕方なかったのだ。
 期待に胸を高鳴らせながら、画面に集中する。愛とは、男性器とは、女性器とは、順序を追って説明していくとある。
「ん……ふぅ……え?」
 いつの間にか、期待とは別の理由で心臓が大きく鼓動している事に気がつく。理由は良く分からないが、何故か全身がぞくぞくと熱くなるのだ。
 やがて女性の体が映し出され、女性器、ヴァギナ、膣と説明された場所が熱くなった。それだけではなく、ぞくぞくと痒いような感覚まで生まれてくる。味わった事のない未知の感覚に、紫はどうすればいいかわからなくなった。
 急に画面が白む。いや、本当に点滅したわけではないだろう。ただ紫がそう感じただけだ。
 なぜだか分からないけど、自分の女性器をぐちゅぐちゅにしなければならない気がした。今までそんな所を触った事などない。しかし、どうしてもぐちゃぐちゃと壊れるほどこねたい衝動が溢れてくる。
 紫は画面に視線を向けたまま、恥ずかしげもなくスカートをたくし上げた。ショーツの上から恐る恐る女性器を触る。その瞬間、ビリビリとした何かが走った。
「ひゃううぅ!?」
 全くの埒外な刺激に、大きく悲鳴を上げてしまう。ショーツはしっとりと濡れていて、まるでお漏らしをしたかのようだった。もう、自分では何がなんだか分からない。
 それでも指は勝手に動く。ショーツを押し付けるように、ぐりぐりと動かせばまたお漏らしをしてしまい、どんどん濡れが酷くなる。
「大丈夫かい?」
「ひぃ!」
 上がった悲鳴は、急に声をかけられた驚きだけではなかった。気づかれてしまった事の恐怖と羞恥、そして肩に手を置かれたときにビリビリと流れた正体不明の電流だ。
「具合が悪そうだね。もうやめるかい?」
「い、いや。大丈夫だ」
 紫も自分自身が酷くおかしいのは判っていた。けど、ここで見るのを止めたくなかった。なぜだか分からなかったが、この恥ずかしさも股の感覚も、全部嫌いじゃないどころか好きだと思っていたのだ。
「下着を濡らしてしまったね。脱いでしまったほうがいい」
 菅原の言葉に、紫の脳が一瞬真っ白になる。そんな恥ずかしい事できるわけがない、そう怒鳴ろうとした瞬間に、また画面が光る。
 その光は紫の頭に知らない事を書き込んでいく。ぴりぴりと脳髄が焼けて、つい一瞬前まで思っていた事と間逆のことを言ってしまう。
「せ、んせい。脱がして、ほしいのだ」
「仕方のない子だね」
 菅原はあくまで紫を慈しむ笑みで、優しく頭を撫でた。それが逆に、紫に自分が汚いもになったかのような強烈な感情を起こさせる。
 菅原は紫の前まで回ると、腰を落とした。紫のスカートは捲り上げられており、視線を隠すものは何もない。淑女にあるまじき恥ずべき行為なのに、心臓は羞恥心とは別に高鳴っている。
 ショーツにそっとかけられた手は、自分のように柔らかいものではなくごつごつとした肌触りだった。それが否応にも自分以外の人間が下着に触れていると自覚させる。
 少しずつ指が降りていき、今覚えたばかりの子供を作る場所が菅原に晒されようとしている。本当なら隠すべきなのに、紫の手はスカートを持ち上げたまま降りてくれなかった。
 それどころかむしろ、腰を小さく上げてショーツが下ろされるのを手伝ってすらいる。しかも、股が自然と開いてしまっているのだ。まるで、紫が自分から見せようとしているようだ。
 真九郎にすら見せた事がない場所を、しかも自分から見せ付けている。とても恥ずかしくて嫌な事なのに、なぜ。
 紫は混乱した頭で考え続けた。なぜ、見せ付けるとが嬉しくてたまらなく、膣の奥まで疼くのだろうか。
 ショーツを引き抜き終わった菅原が、また紫の陰部に注目する。その恥ずかしさに耐え切れず、またとろりとしたものを漏らしてしまった。
「濡れてしまっているね。拭いたほうがいい、少し大人しくしててくれるかな」
 柔らかいタオルが、そっと股間に当てられた。その刺激に、紫は小さく悲鳴を上げておびえる。こんな事は、はいつもトイレで用を足せばしているはずである。それなのに、全く別物に思えた。
 いや、まったく別物だった。
「ひゃあぁぁ! ぅあ、せんっ、せぇ、あっあっあっあああっああああぁぁぁぁ!」
 手のひらをタオル越しにぺったりと股間に貼り付けられ、ゆっくりと前後される。刺激はいままでの比ではなく、股全面に電流が走って紫を狂わせた。

 その刺激は性経験のない紫に耐えられるものではなく、7歳の少女にあるまじき艶声を発した。
「う……いあぁ! こ……だめっ! うあ、んんんんんんっ! ひゃあああぁぁぁ、ふううぅぅぅ!」
 腰はばたばたと暴れまわるが、その動きは手から逃げるというよりも押し付けて刺激を得ようとしている。だめ、だめ、と喘ぎながらも、もう動かず椅子に固定されている菅原の手の上を高速で前後した。
「んんんっああああぁぁぁぁぁ!」
 一際大きく絶叫すると、体は脱力し股からはしたなく粘液を吐き出す。どぷどぷとあふれ出すそれは、股下に添えられたタオルに全て吸い込まれていった。
 菅原は紫が吐き出した愛液を、丹念にふき取っていく。その度に紫から弱弱しい喘ぎ声が漏れた。
 股の汚れを落とすと、タオルを引き抜きながら紫に優しく話しかける。
「もう止めるかね? 体調がよくないのだろう」
「はぁ、はぁ。だい、じょうぶだ。まだ見るぞ」
 こんな状態になってまでなぜ見続けようとするのか、紫にはもう分からない。教育のために作られた面白みもなにもないこの映像が、最高の映画にすら感じるのだ。もっと、ずっと見ていたい、そう思う。
 紫は茫洋とした意識の中、また指を股間に這わせていた。そうする事が自然であるかのように恥丘を揉みしだき、膣から淫液を溢れさせる作業を開始する。
 ぐちゃぐちゃと音をさせるのに、沿う時間はかからなかった。陰部は赤く充血し、子供のものとは思えないほど潤っている。溢れる愛液は塞ぐものがなく、指に、足に、椅子に流れ続ける。
 映像では男性器の解説がなされていた。それを見た瞬間、紫の心臓は真九郎に恋をした時のように締め付けられ、下腹部の奥がきゅっと動いた。
「ぅあ……あ、すご……」
 紫は頭で理解することはできなかったが、彼女の下腹部がしっかりと理解していた。あれは、あれこそが自分を征服するものだと。目が離せず食い入るように見る。
 手の動きは変わっていないのに、伝わる快楽が倍加した。男性器の、それも模造品を見ただけで紫の感度が跳ね上がったのだ。それほどまで、紫の膣は男根に恋焦がれている。
 また光が脳に浸透する。ぞくぞくと胸から疼きが湧き上がり、乱暴な刺激を求めた。
 紫は自分で触ろうとしたが、なぜかそれはダメだと思った。もっと大きな手で、乱暴にしてもらわなければいけない。それも、男性の手で。
 この部屋には紫と菅原しかいない。ならば、紫は菅原に頼まなければいけなかった。しかし、なんと言えばいいのか、まさか自分の胸を揉んでなどという恥知らずな事を言えばいいのか。
 堪えているうちにも、どんどん欲求が増幅していく。それこそ一つボタンを掛け違えれば、恥知らずなおねだりすらしてしまいそうだ。
 紫がどうするか考えていると、菅原の手が紫の肩をたたいた。
「どうかしたのかい?」
 菅原は優しく尋ねたが、紫にはそれどころではなかった。菅原がいつのまにか自分の後ろの席にいたのもそうだが、それ以上に指先が少し乳首にかかっている。ぞくぞくと快感がわきあがり、我慢ができなくなる。
 あれだけの恥をさらして、また恥を上塗りしなければいけないのだろうか。その恐怖と期待に、紫は頭がどうにかなりそうだ。
 菅原の指が、紫の乳首に食い込む。まるで少女の自制心を嘲笑うかのように、指を押し返すように乳首は硬く勃起して、また指になぶられる。そんな風に遊ばれているうちに、ついに紫の限界を超えてしまった。
「も、っとぉ。つよく、して。ぐちゃぐちゃに、してほしい、のだ」
「ん? どこをだい」
 紫に意地悪をするように、指先で乳首をゆっくり味わいながら聞く。紫には、もうそれに抵抗する気力はなかった。
「っわたしの、おっぱいだ! つよく揉んで、乳首つねって、気持ちよくしてぇ!」
 最後の羞恥心を捨てた事でたがが外れたのか、自分の陰部を大きく開いて中をかき回し始める。桃色の肉がちゅぐちゅぐとはじけて、色狂いのような自慰だ。
「本当に仕方がない子だ」
 菅原は服のボタンを外して、紫の服をはだけさせる。まだ幼さしかない胸を擦るように揉んで、同時に乳首も巻き込む。ないに等しい発育であるにもかかわらず、乳首だけはしっかりと女である事を主張している。
「そんなに気持ちいいのかい?」
「す、ごいのぉ! もっと、ぐしゃぐしゃに、ってえぇ!」
「人にこんな事ねだるなんて恥ずかしいな」
「だっ……ってぇ! これ、きもち、よすぎ……んだ!」
 腰を思い切り浮かせて、必死の形相で自分の陰部を弄り続ける。7歳だとは思えないほどの爛れた姿だ。

 どう調教を施したとしても、子供がこれほど快楽を感じるようにはなるまい。菅原は、九鳳院の女には先天的にメス犬としての素質が備わっているという言葉を思い出した。なるほど、この姿を見れば頷ける。
「ほら、君は遊んでばかりいるけど、これも授業の一環なんだよ。ちゃんと見なさい」
 乳首を引っ張って、無理やり紫の意識を起こす。紫は言われたとおりに画面に注目しながら、しかし指の動きは一時たりとも休めようとはしなかった。
 映像の光が、紫の脳を浸食する。紫の手は光に導かれるまま、自分の恥丘の頂点部分、つまりクリトリスを思い切り摘んだ。
「ひにゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 適切な力加減も分からぬままの行為は、苦痛とも快楽とも判断のつかないものだっただろう。紫は思い切りのけぞり、潮をびしゃびしゃと噴きながら7歳という若さで人生最初の絶頂を迎えた。
「うああぁっ、あっあっあっあっあっあああああぁぁぁぁ!」
 それでも紫は手を離さなかった。二本の指でクリトリスを挟み込み、捏ねるように両側から潰している。手にはもう愛液が付いていない場所がない。さらに、胸はずっと菅原に遊ばれていた。
 紫は既に気が狂うほどの快楽を味わっている。本当ならばとっくに動けなくなっているだろう。しかし紫は、気絶するまでクリトリスを弄らなければならないと、なぜかそう思っていた。
「こちらでもイかせてあげよう」
「ふわあああぁぁぁぁ! おっぉぉぁぁあああ!」
 本当に全身を性感帯にして、紫は絶叫した。突き出された腰がヒクヒク動き、大量の愛液をごぽごぽ垂らす。絶頂の余韻が収まると、今度こそ紫は気絶しながら倒れた。
 気絶する間際、意識が殆どない刷り込みをするには最高の状況のときに、また画面からの光が紫の脳に染みこんだ。そして、紫がその事に気づく事はなかった。

 ぼうっとした意識の中、紫はあたりに視線をめぐらせる。見覚えのない部屋である事に気づき、体を起こした。
 最初は誘拐されたのかと思ったが、すぐに違う事に気づく。ここは学校の視聴覚室だ。
 そこで、自分がどれだけの醜態を晒したか思い出し、顔面を青くさせた。菅原先生はすぐ近くにいて、片づけをしている。
 紫の格好は、一応ボタンなどはつけているが、基本的に恥をかいた時のままだった。自分の体からは異臭がするし、手がべたべたする。
「ああ、おきたかい?」
 菅原はいつもどおりの調子で紫に話しかける。紫にはその気遣いがありがたかった。
「とりあえず体を拭いて、身なりをしっかりしなさい。もうすぐ迎えの方が来るだろう」
「うぅ……はい」
 濡れたタオルを受け取って、体をしっかりと拭いていく。服の皺はなんとか目立たない程度にごまかす事ができるだろう。体から発せられる臭いも、どうにもならないと言う事はない。
「あの……先生」
「ん?」
 菅原が片づけを中断して、紫の方を向く。紫はまだ体を拭いている最中だった。
「すまないが……今日の事は」
「ああ、言わないよ。あと、紫ちゃん。私も一応言っておくが、こういった事というのは誰にでも起こりうる事だけど、本当ならばとても恥ずかしい事だからね」
「わかっている。こんな事人に言えるわけがない。わたしも、肝に銘じる」
「そうか。それじゃあ今日はもう帰りなさい」
 紫はむぅ、と眉をひそめた。今菅原が片付けているのは、間違いなく紫が汚した分だ。自分で汚しておいて相手に片づけを押し付けると言うのは、紫の道理に適わない。
「先生、わたしも手伝うぞ」
「だめだよ。私たちは生徒にルールを守らせる義務があるんだ。九鳳院とも定時に帰らせると約束をしているんだ。その約束を破ってまでやらせるわけにはいかないよ」
「むぅ……しかし」
「じゃあ、今度別のことを手伝ってもらおう。それでいいね」
「……わかった、そうする。菅原先生、すみませんでした」
「かまわないよ。気をつけて帰りなさい」
「はい!」
 紫は大きな返事をして、視聴覚室から出て行く。校門を見ると、既に車が待っていた。
 ふいに、そういえば、と思い出す。自分の裸を見せてもいい相手など、真九郎だけだと思っていた。事実、真九郎意外に見せるつもりなどなかった。なのに、なぜ菅原先生にみせてもそれほど嫌ではなかったのだろうか。
 紫の小さな疑問は、帰りを急いだためにすぐに頭から消えていった。
 菅原が一人、予想以上だ、と呟いた言葉は、紫の耳に届く事はなかった。


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